学研全訳古語辞典 |
あか・る 【離る・別る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
散り散りになる。別々になる。
出典源氏物語 空蟬
「うちそよめく心地して、人々あかるるけはひなどすなり」
[訳] ざわざわと衣(きぬ)ずれの音をさせる感じがして、人々が別れていく気配などがするようだ。
参考
「あかる」と「わかる」の違い 「あかる」は「つどふ」の反対語で、多くの人々が集まった場所から離れて別れていく意味を表し、主語が複数の場合に使われている。それに対して「わかる」は、「あふ」の反対語で、一つのものが別々になる意味が原義であり、単数の主語にも使われる。
か・る 【離る】
{語幹〈か〉}
①
遠ざかる。離れる。
出典源氏物語 若紫
「年ごろの蓬生(よもぎふ)をかれなむも」
[訳] 長年住み慣れたこの荒れた屋敷を離れてしまうのも。
②
間(ま)があく。途絶える。
出典古今集 冬
「山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば」
[訳] ⇒やまざとは…。
③
疎遠になる。離れる。
出典伊勢物語 二四
「相思はでかれぬる人をとどめかね」
[訳] ⇒あひおもはで…。
さか・る 【離る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
遠ざかる。隔たる。
出典万葉集 二七四
「わが舟は比良(ひら)の湊(みなと)に漕(こ)ぎ泊(は)てむ沖辺(おきへ)なさかりさ夜(よ)更(ふ)けにけり」
[訳] ⇒わがふねは…。
はな・る 【離る・放る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
離れる。遠ざかる。去る。
出典徒然草 七五
「いまだまことの道を知らずとも、縁をはなれて身をしづかにし」
[訳] まだ本当の(仏の)道を知らなくても、世俗的な生活から離れて身を静かな境地におき。
②
別れる。離縁する。逃げ去る。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「これを聞きて、はなれ給(たま)ひしもとの上(うへ)は、腹をきりて笑ひ給ふ」
[訳] これを聞いて、離縁しなさったもとの奥方は、腹をよじってお笑いになる。
③
官職をとかれる。免官になる。
出典源氏物語 匂宮
「三位(さんゐ)の宰相にて、なほ中将もはなれず」
[訳] (薫(かおる)は)三位の宰相で、もとのまま中将も免官にならない。
④
開く。あく。
出典狭衣物語 二
「格子(かうし)を探り給(たま)へば、はなれたる所もありけり」
[訳] 格子戸を手探りなさると、あいている所もあった。
あ・る 【散る・離る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
遠のく。離れる。
出典竹取物語 燕の子安貝
「あれて寄りまうで来(こ)ず」
[訳] 離れて寄ってまいりません。
離るのページへのリンク |