学研全訳古語辞典 |
すさび 【荒び・遊び】
①
気まぐれ。気まま。
出典源氏物語 夕顔
「懲(こ)りずまにまたもあだ名立ちぬべき御心のすさびなめり」
[訳] こりもせずにまたまた浮気な評判が立ちそうな(源氏の)お心の気まぐれであるようだ。
②
慰み。もてあそび。
出典徒然草 一九
「筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて」
[訳] 筆の勢いにまかせながら書いた、つまらない慰みで。
あそび 【遊び】
①
神前での歌舞や音楽。神遊び。神楽(かぐら)。
出典日本書紀 天智
「打橋(うちはし)のつめのあそびに出でませ子」
[訳] 板を渡しただけの仮の橋のたもとの(歌垣(うたがき)の)歌舞・音楽の遊びに出ていらっしゃい、娘さん。
②
山野で、狩猟・行楽・酒宴などをして楽しむこと。
出典万葉集 八三五
「春さらば逢(あ)はむと思(も)ひし梅の花今日のあそびにあひ見つるかも」
[訳] 春になったら会おうと思っていた梅の花に、今日の宴席で会ったことだよ。
③
詩歌・管弦や舞などをして楽しむこと。◇中古の作品の中の例は、ほぼこの意味と見てよい。
出典源氏物語 桐壺
「月のおもしろきに、夜更くるまであそびをぞし給(たま)ふなる」
[訳] 月が美しいので、夜が更けるまで音楽の催しをなさっているようだ。
④
遊ぶこと。遊戯。娯楽。慰み。
出典徒然草 一三〇
「万(よろづ)のあそびにも、勝負を好む人は、勝ちて興あらんためなり」
[訳] いろいろな遊戯の中でも、勝負事の好きな人は、勝って得意な気持ちになろうとしてするのだ。
⑤
「遊(あそ)び女(め)」の略。遊女。宿場などの宴席で歌舞を演じて旅人の遊興の相手をした女。
出典更級日記 足柄山
「あそび三人(みたり)、いづくよりともなく出(い)で来たり」
[訳] 遊女が三人、どこからともなく出てきた。
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