学研全訳古語辞典 |
あきのたの…
分類和歌
出典百人一首
「秋の田のかりほの庵(いほ)の苫(とま)を粗(あら)みわが衣手(ころもで)は露(つゆ)に濡(ぬ)れつつ」
出典後撰集 秋中・天智天皇(てんぢてんわう)
[訳] 秋の田の刈った稲穂の番をする仮の小屋の屋根は、苫の編み目が粗いので、そこに泊まる私の衣の袖(そで)は、夜露に濡れてかわくひまもないことである。
鑑賞
「かりほ」に「仮庵(かりほ)」「刈(か)り穂(ほ)」をかけている。また、『万葉集』には「秋田刈る仮庵(かりほ)を作りわが居(を)れば衣手寒く露ぞ置きける」という読み人知らずの歌がある。
あきのたの…
分類和歌
「秋の田の穂(ほ)の上(へ)に霧(き)らふ朝霞(あさかすみ)いづへの方(かた)に我(わ)が恋(こ)ひやまむ」
出典万葉集 八八・磐姫皇后(いはのひめのおほきさき)
[訳] 秋の田の稲穂の上にかかって晴れ間のない朝霧(あさぎり)のようにいつになったら私の恋(こい)は消えていくのだろうか。
鑑賞
万葉集の時代は「霞」と「霧」とは区別して使われることはなかった。磐姫皇后は仁徳天皇の皇后。上三句は序詞(じよことば)。秋の田一面に低くかかって晴れることのない朝の霧が、相手を待ち続けて夜を明かした作者の心中を象徴している。この歌は磐姫皇后に仮託した(=かこつけた)、奈良時代の作かとも言われている。
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