学研全訳古語辞典 |
あな-かしこ 【あな畏】
分類連語
①
ああ恐れ多いことよ。ああ慎むべきだ。
出典竹取物語 火鼠の皮衣
「『あなかしこ』とて箱に入れ給(たま)ひて」
[訳] 「ああ恐れ多いことよ」と言って箱にお入れになって。
②
恐れ入りますが。▽呼びかけるときに発する語。
出典紫式部日記 寛弘五・一一・一
「あなかしこ、このわたりに若紫や候ふ」
[訳] 恐れ入りますが、このあたりに若紫はいらっしゃいませんか。
③
かしこ。敬具。▽手紙の末尾に記す語。古くは男女ともに用いた。
④
〔下に禁止の語を伴って、副詞的に用いて〕決して。ゆめゆめ。
出典宇治拾遺 一三・五
「あなかしこ、人に語りたまふな」
[訳] 決して、他人に語りなさるな。
なりたち
感動詞「あな」+形容詞「かしこ(畏)し」の語幹
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