学研全訳古語辞典 |
おもふこと…
分類和歌
「思ふことなど問ふ人のなかるらむ仰げば空に月ぞさやけき」
出典新古今集 雑下・慈円(じゑん)
[訳] 私が思い悩んでいることを、どうして尋ね慰めてくれる人がいないのだろう。ふと空を仰ぐと、そこには月がこうこうと明るく澄んでいることだ。
鑑賞
「など」は「どうして」と訳す。自分の悩みをだれも分かってくれないと、孤独感に落ち込んだとき、はるか天空に月がすがすがしく照っていた。その明るさが悩み迷う心に、救いを与えたのである。月は仏教的な悟りの境地を示す象徴として詠まれており、そうした月を「真如(しんによ)の月」という。
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