学研全訳古語辞典 |
しぐら・ふ
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
密集する。
出典平家物語 九・木曾最期
「ここにしぐらうて見ゆるはたが手やらん」
[訳] ここに密集して見えるのは、だれの軍勢だろうか。◇「しぐらう」はウ音便。
②
たちこめる。
出典平家物語 一一・勝浦付大坂越
「蹴(け)上ぐる潮の霞(かすみ)とともにしぐらうだる中より」
[訳] 馬がけり上げる海水が霞とともにたちこめる中から。
参考
①②とも、それを遠くから眺めた状態をいう語で、「時雨」で遠方がかすむことから出た語かという。また、『日葡(につぽ)辞書』には、「しぐらふ」と同義で「しぐらむ」の語もあり、二つの形が行われていたらしい。
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