学研全訳古語辞典 |
たし
《接続》動詞および助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」の連用形に付く。
①
〔自己の希望〕…たい。
出典徒然草 六〇
「帰りたければ、ひとりつい立ちて行きけり」
[訳] 帰りたいときはいつでも、(自分)一人ふいと立って行ってしまった。
②
〔他への期待〕…ほしい。…たい。▽動詞「あり」の下に付いて、状態の実現を希望する。
出典平家物語 一・祇王
「誰(たれ)もみなあのやうでこそありたけれ」
[訳] だれでもみんなあのようであってほしい。
語法
未然形の「たく」 「たく+は」については、次の二とおりの説がある。[イ] の立場に立った場合にだけ未然形「たく」が存在することになる。
注意
「こちたし」「らうたし」などの語末の「たし」と混同しないようにすること。
語の歴史
「たし」は中古の末期ごろから用いられるようになったが、中古の希望の助動詞「まほし」に比べて、口語的・俗語的な語であった。以後、「たし」が優勢になってゆき、現代語の「たい」に続く。
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