学研全訳古語辞典 |
たく
希望の助動詞「たし」の未然形・連用形。
出典平家物語 一〇・内裏女房
「八島へかへりたくは」
[訳] 八島へ帰りたいなら。
たく 【栲】
栲(こうぞ)または梶(かじ)の木。樹皮の繊維から糸・布・紙を作る。
た・く 【焚く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
燃やす。
出典徒然草 五四
「あはれ、紅葉(もみぢ)をたかん人もがな」
[訳] ああ、紅葉を燃やし(酒をあたためる)ような人がいればよいのになあ。
②
香をくゆらす。
出典平家物語 灌頂・大原御幸
「甍(いらか)破れては、霧、不断の香をたき」
[訳] 屋根が破れて、入ってくる霧が、たえまなくたく香をたいて(いるようだ)。◇「薫く」とも書く。
③
煮る。◇「炊く」とも書く。
た・く 【綰く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
髪をかき上げて束ねる。
出典万葉集 一二三
「たけばぬれたかねば長き妹(いも)が髪」
[訳] かき上げて束ねればほどけ、束ねなければ長くさがっている妻の髪。
②
舟を漕(こ)ぐ。
出典万葉集 一二六六
「大船を荒海(あるみ)に漕ぎ出(で)弥船(やふね)たけ」
[訳] 大船を荒海に漕ぎ出し、いよいよ船を漕ぐが。
③
(馬の手綱(たづな)を)あやつる。「だく」とも。
出典万葉集 四一五四
「石瀬野(いはせの)に馬たき行きて」
[訳] 石瀬野(いわせの)に馬をあやつり行って。◆上代語。
た・く 【長く・闌く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
(日や月が)高くのぼる。高くなる。
出典源氏物語 夕顔
「日たくる程に起き給(たま)ひて」
[訳] 日が高くのぼるころにお起きになって。
②
長じる。円熟する。
出典徒然草 一五〇
「徳たけ、人に許されて」
[訳] 人格が円熟し、世間の人に認められて。
③
盛りを過ぎる。▽季節・時期・年齢についていう。
出典平家物語 一・祇王
「かくて春過ぎ夏たけぬ」
[訳] このようにして春は過ぎ、夏も盛りを過ぎた。
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