学研全訳古語辞典 |
てりもせず…
分類和歌
「照りもせず曇りも果てぬ春の夜の朧月夜(おぼろづくよ)にしくものぞなき」
出典新古今集 春上・大江千里(おほえのちさと)
[訳] 照り渡るというのでもなく、完全に曇ってしまうというのでもない春の夜の、ほのかなおぼろ月夜の風情に及ぶものはない。
鑑賞
「明らかならず暗からず、朧々(ろうろう)たる月」という『白氏文集(もんじゆう)』の詩の一節を題に詠んだ歌で、第四句まではその詩句の翻訳であるが、結びの「しくものぞなき」によっておぼろ月のほのかな風情を鮮やかに導き出した。
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