学研全訳古語辞典 |
て-・む
分類連語
①
…てしまおう。▽強い意志を表す。
出典土佐日記 二・一六
「とまれ、かうまれ、とく破(や)りてむ」
[訳] とにかく、早く破ってしまおう。
②
きっと…だろう。きっと…にちがいない。▽推量を強調する。
出典徒然草 六〇
「もしあらましかば、この僧の顔に似てん」
[訳] もしあるとしたならば、この僧の顔にきっと似ているだろう。
③
…できるだろう。▽実現の可能性を推量する。
出典古今集 春上
「春日野(かすがの)の飛ぶ火の野守(のもり)出(い)でて見よいまいく日(か)ありて若菜摘みてむ」
[訳] 春日野の飛ぶ火野の番人(=「飛ぶ火を管理する野守」とも)よ、外に出て(ようすを)見よ。あと何日たてば若菜を摘むことができるだろうか。
④
…してしまうのがよい。…してしまうべきだ。▽適当・当然の意を強調する。
出典徒然草 一七〇
「心づきなき事あらん折は、なかなかその由をも言ひてん」
[訳] 気にくわないことがあるようなときには、かえってその理由をも言ってしまうのがよい。
参考
「てん」とも表記される。
なりたち
完了(確述)の助動詞「つ」の未然形+推量の助動詞「む」
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