学研全訳古語辞典 |
て-は
分類連語
①
…て(は)。…の状態で(は)。▽「て」の付いた語句を強調する。
出典源氏物語 桐壺
「さりとも、うち捨てては、え行きやらじ」
[訳] いくらなんでも、(私をこの世に)残しては、(あの世に)行けないだろう。
②
…ので。…たからには。▽順接の確定条件を表す。
出典徒然草 一〇九
「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん」
[訳] これくらい(の高さ)になったからには、飛び降りても降りることができるだろう。
③
…たら。…なら。▽順接の仮定条件を表す。
出典源氏物語 葵
「朝夕の光失ひては、いかでか世にながらふべからむ」
[訳] 朝夕の光(=光源氏)を失ったら、どうしてこの世に生き長らえることができようか。いや、生き長らえることはできないだろう。
④
…たかと思うと。…と。▽動作・作用の反復を表す。
出典松風 謡曲
「寄せては返る片男波(かたをなみ)」
[訳] 寄せたかと思うと返る高い波よ。
⑤
…(する)と、決まって。…(する)と、いつでも。▽ある条件のもとでは決まってそうなることを表す。
出典徒然草 八三
「月満ちては欠け、物盛りにしては衰ふ」
[訳] 月は満ちると決まって欠け、物は盛りになると決まって衰える。
⑥
…てからは。▽ある事実の実現を表す。
出典万葉集 三五九一
「妹(いも)とありし時はあれども別れては衣手(ころもで)寒きものにそありける」
[訳] 妻と一緒にいた時はともかくとしても、別れてからは(ひとり寝る夜は)衣の袖(そで)が寒いものであったよ。
なりたち
接続助詞「て」+係助詞「は」
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