学研全訳古語辞典 |
ちゅう 【中】
①
中央。中間。途中。
出典太平記 一四
「橋桁(はしげた)四、五間(けん)、ちゅうより折れて」
[訳] 橋げた四、五間が、中央から折れて。
②
中ぐらい。中ぐらいの大きさ。
③
偏らないこと。中庸。
④
空中。宙。
出典太平記 三八
「真壁孫四郎をちゅうにひっさげながら」
[訳] 真壁孫四郎を宙にぶらさげて持ちながら。
なか 【中・仲】
①
中ほど。中央。あいだ。中旬。
出典伊勢物語 九
「武蔵国(むさしのくに)と下総国(しもつふさのくに)とのなかに、いと大きなる川あり」
[訳] 武蔵の国と下総の国とのあいだにたいそう大きな川がある。
②
中位。中等。▽身分や等級で「上(かみ)」「下(しも)」に対していう。
出典土佐日記 一二・二二
「上(かみ)なか下(しも)、酔(ゑ)ひ飽きて」
[訳] 身分の上位・中位・下位の者(みんな)、ひどく酔っぱらって。
③
二番目。次男。次女。▽兄弟・姉妹の中での順番。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「このなかの君のすずろにあはれと思ひいで給(たま)へば」
[訳] この(家の)二番目の姫君(=作者)がしきりにいとおしんで思い出してくださるので。
④
(物の)内部。内側。中。心の内。胸中。
出典竹取物語 ふじの山
「その煙(けぶり)、いまだ雲のなかへ立ち上る」
[訳] その(不死の薬を焼く)煙は、今でも雲の中へ立ち上っている。
⑤
内。中。▽同類のものの内の一つ。
出典方丈記
「いにしへ見し人は、二、三十人がなかに、わづかに一人二人なり」
[訳] 昔会ったことがある人は二、三十人の内、かろうじて一人か二人である。
⑥
間柄。間。仲。
出典紫式部日記 寛弘五・一一・一五
「なか絶ゆとなけれど、おのづからかき絶ゆるもあまた」
[訳] (交際の)仲がとだえるというわけではないが、自然と音さたがなくなる人も多くて。
中のページへのリンク |