学研全訳古語辞典 |
いだ・す 【出だす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
(外へ)出す。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「帳(ちやう)の内よりもいださず、いつき養ふ」
[訳] (翁(おきな)はかぐや姫を)垂れぎぬの中からさえも出さないで、大切に養い育てる。
②
行かせる。
出典枕草子 すさまじきもの
「忍びやかに門(かど)をたたけば…人いだして問はするに」
[訳] こっそりと門をたたくので…人を行かせて尋ねさせると。
③
提出する。差し出す。
出典土佐日記 一・一一
「ある人の書きていだせる歌」
[訳] ある人が書いて差し出した歌。
④
引き起こす。
出典大鏡 伊尹
「昨日事いだしたりし童(わらは)べ」
[訳] 昨日事件を引き起こした子供。
⑤
口に出す。言う。歌う。
出典源氏物語 梅枝
「弁少将拍子とりて、『梅が枝(え)』いだしたるほど、いとをかし」
[訳] 弁少将が拍子をうって「梅が枝」を歌い出したようすはたいへん趣がある。
⑥
出す。表す。
出典源氏物語 東屋
「降魔(がま)の相をいだして」
[訳] 悪魔をこらしめる不動尊のような怒りの形相を表して。
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
〔動詞の連用形に付いて〕外へ向かって行う、または外へ表し出す意を表す。
出典伊勢物語 二三
「…と言ひて見いだすに、からうじて大和(やまと)人、『来む』といへり」
[訳] …と言って外を見るとやっとのことで大和の男から「(そちらへ)行こう」と言ってきた。
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