学研全訳古語辞典 |
やま 【山】
①
地面の高く隆起している所。
出典伊勢物語 九
「そのやまは、ここにたとへば、比叡(ひえ)の山を二十(はたち)ばかり重ね上げたらむ程して」
[訳] その山は、この京の都で例にとると、比叡山(ひえいざん)を二十ほど積み上げたような程度(の高さ)で。
②
比叡山。比叡山延暦寺(えんりやくじ)。
出典平家物語 四・山門牒状
「やまへも奈良へも牒状(てふじやう)をこそおくりけれ」
[訳] 比叡山へも奈良へも順に回覧する文書を送ったことだ。
③
墓。天皇の墓。山陵(さんりよう)。
出典源氏物語 須磨
「御やまに参りはべるを」
[訳] (桐壺院(きりつぼいん)の)御陵に参拝いたしますが。
④
庭園の築山(つきやま)。
出典源氏物語 桐壺
「もとの木立、やまのたたずまひおもしろき所なるを」
[訳] 以前からの木立や、築山のありさまも情趣ある所であるのを。
⑤
物事が盛り上がったり、多く積み重なったりしていること。また、そのもの。
出典枕草子 職の御曹司におはします頃、西の廂にて
「雪のやま、つれなくて年もかへりぬ」
[訳] 雪の山は、平気で(=そのまま消えずに)年もあらたまった。
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