学研全訳古語辞典 |
お・す 【押す・圧す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
動かす。押す。
出典枕草子 日のいとうららかなるに
「櫓(ろ)といふものおして、歌をいみじううたひたるは」
[訳] 櫓という物を押して、歌をさかんに歌っているのは。
②
前に進める。
出典源氏物語 玉鬘
「唐泊(からとまり)より川尻(かはじり)おすほどは」
[訳] 唐泊から川尻へ舟を進める間は。
③
押し当てる。
出典源氏物語 常夏
「みな、いと涼しき勾欄(こうらん)に背中おしつつ、さぶらひ給(たま)ふ」
[訳] 皆とても涼しい欄干に背中を押し当てながら控えていらっしゃる。
④
圧倒する。
出典源氏物語 桐壺
「右の大臣(おとど)の御勢ひは、ものにもあらずおされ給へり」
[訳] 右大臣のご威勢は問題にもならず(左大臣に)圧倒されてしまわれた。
⑤
張り付ける。印をおす。
出典平家物語 一・殿上闇討
「中は木刀(きがたな)に銀箔(ぎんぱく)をぞおしたりける」
[訳] 中身は木刀に銀箔を張り付けてあった。
⑥
すみずみまで行き渡らせる。
出典万葉集 一〇七四
「春日山おして照らせるこの月は」
[訳] 春日山をすみずみまで行き渡らせて照らしているこの月は。
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