学研全訳古語辞典 |
す・つ 【捨つ・棄つ】
活用{て/て/つ/つる/つれ/てよ}
①
捨てる。
出典枕草子 うへにさぶらふ御猫は
「打ち殺してすて侍(はべ)りぬ」
[訳] (犬は)打ち殺して捨てました。
②
見捨てる。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「我をいかにせよとて、すてては昇り給(たま)ふぞ」
[訳] 私(=竹取の翁(おきな))をどうしろといって、見捨てて(天に)お昇りになるのか。
③
世俗からのがれる。出家する。
出典源氏物語 若紫
「世をすてたる法師の心地にも」
[訳] 俗世間からのがれた法師の気持ちとしても。
④
身命を投げ出す。犠牲にする。▽多く「命をすつ」「身をすつ」の形で用いる。
出典竹取物語 蓬莱の玉の枝
「命をすてて、かの玉の枝持ちて来(き)たる」
[訳] 命を犠牲にして、あの玉の枝を持ってやって来た。
活用{て/て/つ/つる/つれ/てよ}
〔動詞の連用形や助詞「て」に付いて〕…(て)しまう。
出典平家物語 一二・泊瀬六代
「言はずは斬(き)ってすてん」
[訳] 言わないのなら切ってしまおう。
ふ・つ 【棄つ・捨つ】
活用{て/て/つ/つる/つれ/てよ}
捨てる。
出典大和物語 一四九
「熱湯(あつゆ)にたぎりぬれば湯ふてつ」
[訳] 熱湯に煮え立ったので湯を捨てた。
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