学研全訳古語辞典 |
あら-ば-こそ 【有らばこそ】
分類連語
①
もしあるならば(…だろうけれど、実際はそうでないから…でない)。もしあるならばとにかく。▽仮定条件を強め、全体で反語的な気持ちを表す。多く下に推量の助動詞を伴う。
出典万葉集 二八六五
「玉釧(たまくしろ)(=枕詞(まくらことば))まき寝(ぬ)る妹(いも)もあらばこそ夜の長けくもうれしかるべき」
[訳] 手枕(てまくら)を交わしていっしょに寝る妻がいるのならば、夜の長いのもうれしいだろうけれど、いないから少しもうれしくはない。
②
あろうはずがない。ありはしない。▽文末に用いて、もしあるならばとにかくの意から、強い打消を表す。
出典平家物語 七・一門都落
「今は世の世にてもあらばこそ」
[訳] 今は(自分たちが栄えていた)世であるならとにかく、そのような世ではあろうはずがない。
なりたち
ラ変動詞「あり」の未然形+接続助詞「ば」+係助詞「こそ」
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