学研全訳古語辞典 |
もの-も-おぼえ-・ず 【物も覚えず】
分類連語
①
どうしてよいかわからない。無我夢中だ。
出典源氏物語 夕顔
「右近はものもおぼえず、君につと添ひ奉りて、わななき死ぬべし」
[訳] 右近は無我夢中で、(夕顔の)君にじっと寄り添い申し上げ、震え死にそうである。
②
道理をわきまえない。
出典平家物語 四・信連
「ものもおぼえぬ官人どもが申しやうかな」
[訳] 道理もわきまえない役人たちの申しようだな。
③
思いがけない。
出典栄花物語 浦々の別れ
「御身より、ただものもおぼえぬ水のさと流れ出づれば」
[訳] お体からただもう思いがけない水がさっと流れ出したので。
なりたち
名詞「もの」+係助詞「も」+動詞「おぼゆ」の未然形+打消の助動詞「ず」
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