秘蔵

学研全訳古語辞典

ひ－さう 【秘蔵】

名詞※「す」が付いて他動詞（サ行変格活用）になる

① 大切にしまっておくこと。また、そのもの。

出典 平家物語 九・知章最期

「最（もと）も院の御ひさうの御馬にて」

[訳] 最も院のご大切な所蔵物の御馬で。

② 他人には教えない大切な事柄。秘伝。奥義（おうぎ）。

出典 徒然草 一八六

「この用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり。これひさうの事なり」

[訳] 以上の用心を忘れないのを（真の）馬乗りと申すのである。これは秘伝のことである。◆近世中期以降「ひざう」。