学研全訳古語辞典 |
は 【端】
はし。へり。ふち。
つま 【端】
①
はし。へり。
出典源氏物語 柏木
「几帳(きちやう)のつまを引き上げ給(たま)へれば」
[訳] 几帳のはしを引き上げなさったので。
②
軒先。軒端(のきば)。
出典更級日記 梅の立枝
「梅の木の、つま近くて、いと大きなるを」
[訳] 梅の木で、軒先に近くて、たいそう大きなのを。
③
きっかけ。手がかり。
出典源氏物語 須磨
「なかなか物思ひのつまなるべきを」
[訳] かえって心配のきっかけになるであろうから。
はし 【端】
①
(物の)はし。先端。末端。へり。ふち。
出典枕草子 木の花は
「せめて見れば、花びらのはしに、をかしきにほひこそ、心もとなうつきためれ」
[訳] よくよく見ると、(梨(なし)の花の)花びらの先端に美しい色つやが、ほのかについているように見える。
②
(家の)外に近いところ。縁側。
出典大和物語 一四九
「男や来ると見れば、はしにいでゐて」
[訳] 男が来るだろうかと思って見ていると、(その女は)縁側に出て座って。
③
(物の)一部分。一端。切れ端。
出典枕草子 正月に寺にこもりたるは
「なにともなき経のはし、うち誦(よ)み」
[訳] これときまったこともないお経の一部分を口ずさんだり。
④
(物事の)発端。端緒。はじまり。
出典千載集 恋四
「逢(あ)ひ見むと言ひ渡りしは行く末の物思ふ事のはしにぞありける」
[訳] (あなたに)会いたいと言いつづけていたことは、それから先のもの思いのはじまりであったのだ。
⑤
折。時。間。
出典万葉集 一九九
「露霜の(=枕詞(まくらことば))消(け)なば消ぬべく行く鳥の(=枕詞)争ふはしに」
[訳] 死ぬならば死んでしまえと先を争って戦う(その)時に。
⑥
中途はんぱ。はんぱ者。
出典古今集 雑下
「木にもあらず草にもあらぬ竹の節(よ)のはしにわが身はなりぬべらなり」
[訳] 木でもなければ草でもない竹の節と節の間の中空のように、世のはんぱ者に我が身はなってしまいそうだ。
はした 【端】
①
はんぱ。端数。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「惜しや、片足は野良犬めにくはへられ、はしたになりて」
[訳] 惜しいことよ、片方(の下駄(げた))は野良犬めにくわえられ(持っていかれ)て、はんぱになって。
②
召使いの女。下女。
出典増鏡 おりゐる雲
「下仕(しもづか)へ・御はした・御雑仕(ざふし)」
[訳] 雑役のもの・召使いの女・下級の女官。
はた 【端】
①
へり。ふち。
出典枕草子 にくきもの
「老いばみたる者こそ火桶(ひをけ)のはたに足をさへもたげて」
[訳] 年寄りじみた者がきまって火鉢のふちに(手ばかりか)足まで持ちあげて。
②
わき。そば。ほとり。
出典徒然草 八九
「小川(こがは)のはたにて、音に聞きし猫また」
[訳] 小川(=川の名)のほとりで、話に聞いていた猫またが。
へた 【辺・端】
はし。へり。ほとり。海辺。
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