学研全訳古語辞典 |
まが・ふ 【紛ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
入りまじる。入り乱れる。入りまじって区別できない。
出典源氏物語 初音
「えひ香(かう)の香(か)のまがへる、いと艶(えん)なり」
[訳] えい香の香が入りまじっていて実にはなやかである。
②
まちがえる。よく似ている。区別がつかない。
出典詞花集 雑下
訳
⇒わたのはらこぎいでてみれば…。
{語幹〈まが〉}
①
かきまぜる。まぎれこませる。区別がつかなくする。
出典万葉集 一六四〇「わが丘に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまがへつるかも」
[訳] 私の住む丘に盛りと咲いている梅の花は、消え残っている雪を区別がつかなくしたなあ。
②
見失う。
出典源氏物語 花宴
「世に知らぬ心地こそすれ有明(ありあけ)の月の行方を空にまがへて」
[訳] この世で経験したことのない(悲しい)気持ちがするよ。有明の月(=暁(あかつき)にあった女)の行方を空の中に見失って。
③
思いちがえる。見まちがえる。聞きちがえる。
出典枕草子 二月つごもり頃に
「『空寒み花にまがへて散る雪に』と、わななくわななく書きて取らせて」
[訳] 「空が寒いので花と見まちがえるように降る雪に」と、ふるえふるえ書いて渡して。
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