学研全訳古語辞典 |
まぎれ 【紛れ】
①
見分けにくいこと。また、その所・時。
出典枕草子 はづかしきもの
「暗きまぎれに、懐に物など引き入るる人もあらむかし」
[訳] 暗い物の見分けにくいときに、懐に物など引き入れる人もいるだろうよ。
②
気が紛れること。気晴らし。
出典源氏物語 明石
「昔物語などせさせて聞き給(たま)ふに、少しつれづれのまぎれなり」
[訳] 昔の話などをさせてお聞きになると、少し退屈の気晴らしである。
③
ほかのことにとり紛れること。また、そのような用事・出来事。取り込み。
出典源氏物語 須磨
「その折の心地のまぎれに、はかばかしうも聞き置かずなりにけり」
[訳] その時の悲しい気分にとり紛れることで、はっきりと聞きおかないままになってしまった。
④
間違い。過ち。
出典世間胸算用 浮世・西鶴
「隠居の尋ねらるる年玉銀(としだまがね)にまぎれなし」
[訳] 隠居が尋ねられたお年玉の金に間違いがない。
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