学研全訳古語辞典 |
あら-ぬ
①
ほかの。別の。
出典枕草子 職の御曹司の西面の
「なほ説孝(のりたか)なめりとて見やりたれば、あらぬ顔なり」
[訳] やはり説孝であるようだと思って見てみると、別の顔である。
②
意外な。思いもかけない。
出典徒然草 一八九
「今日はそのことをなさんと思へど、あらぬ急ぎまづ出(い)できて紛れ暮らし」
[訳] 今日はそのことをしようと思っても、思いもかけない急なことが先にできて、そのことに気を取られて一日を過ごし。
③
いやな。不都合な。望ましくない。
出典平家物語 七・経正都落
「弓箭(きゆうせん)を帯し、あらぬさまなるよそほひにまかりなりて候へば」
[訳] 弓矢を身につけ、(参上するのには)不都合な姿である装いになっておりますので。
参考
ラ変動詞「あり」の未然形に打消の助動詞「ず」の連体形が付いて一語化したもの。
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