学研全訳古語辞典 |
あ-・らし
分類連語
あるらしい。あるにちがいない。
出典万葉集 七九二
「春雨を待つとにあらし我がやどの若木の梅もいまだ含(ふふ)めり」
[訳] 春雨を待つということであるらしい。私の家の若木の梅もまだつぼみの状態でいる。
なりたち
ラ変動詞「あり」の連体形+推量の助動詞「らし」からなる「あるらし」が変化した形。ラ変動詞「あり」が形容詞化した形とする説もある。
あらし 【嵐】
激しい勢いで吹く風。
出典古今集 秋下
「吹くからに秋の草木(くさき)のしをるればむべ山風をあらしといふらむ」
[訳] ⇒ふくからに…。
あら・し 【粗し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
(目が)粗い。
出典後撰集 秋中
「秋の田のかりほの庵(いほ)の苫(とま)をあらみ」
[訳] ⇒あきのたのかりほのいほの…。
あら・し 【荒し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
(風・波などの勢いが)強く激しい。
出典土佐日記 一・一八
「海あらければ、舟出(い)ださず」
[訳] 海が荒れているので、舟を出さない。
②
(気持ち・態度などが)荒々しい。
出典枕草子 にくきもの
「遣(や)り戸をあらく閉(た)て開くる」
[訳] 引き戸を荒々しく閉めたり開けたりする。
③
荒れてけわしい。
出典万葉集 五六七
「手向(たむ)けよくせよあらしその道」
[訳] (磐国山(いわくにやま)を越えようとする日には)峠(とうげ)の神への供え物を十分にしなさい。けわしいですよ、その山道は。
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