学研全訳古語辞典 |
せた・む 【責む】
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
強く責める。あやまちをとがめる。
出典宇治拾遺 一三・一四
「なんの料(れう)に、この老法師をば、かくはせたむるぞや」
[訳] なんのために、この老僧を、このように強く責めるのか。
せ・む 【責む】
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
①
とがめる。なじる。責める。
出典宇治拾遺 六・四
「双六(すごろく)を打ちけるが、多く負けて、渡すべき物なかりけるに、いたくせめければ」
[訳] (若侍は)双六を打ったが、さんざん負けて、(相手に)与えることができそうな物がなかったときに、(相手が)とても責めたので。
②
催促する。せがむ。強要する。
出典奥の細道 象潟
「江山(かうさん)水陸の風光数を尽くして、今、象潟(きさかた)に方寸(はうすん)をせむ」
[訳] 川や山、海や陸のすばらしい景色をたくさん見てきて、今、象潟へと心がせきたてられる。
③
悩ます。苦しめる。
出典古今集 雑体
「冬は霜にぞせめらるる」
[訳] 冬は霜に苦しめられる。
④
追究する。求める。
出典三冊子 俳論
「せむるものはその地に足を据ゑがたく、一歩自然(じねん)に進む理(ことわり)なり」
[訳] (風雅の誠を)追究する者は、いつまでも同じところに満足してはいられないから、自然に一歩前に進むことになる道理である。
⑤
馬を乗りならす。調教する。
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