学研全訳古語辞典 |
つゆ 【露】
①
露。消えやすいものとしてとらえることが多い。
出典方丈記
「あるいはつゆ落ちて花残れり」
[訳] ある場合は、露が落ちて花が残っている。
②
涙(のしずく)たとえ。多く①の意をかけて用いる。
出典源氏物語 桐壺
「いとどしく虫の音(ね)しげき浅茅生(あさぢふ)につゆおきそふる雲の上人(うへびと)」
[訳] ⇒いとどしく…。
③
はかなく消えやすいもののたとえ。
出典源氏物語 夕霧
「つゆのあはれをばさしおきて、ただならず嘆きつつおはす」
[訳] 露のようにはかない無常ということをさしおいて、ひとかたならず嘆き続けていらっしゃる。
④
ほんのわずかなこと。少しばかりのこと。
出典源氏物語 帚木
「つゆにても心にたがふ事はなくもがな」
[訳] ほんのわずかなことについても(夫の)心にそむくことはないようにしたい。
⑤
狩衣(かりぎぬ)・直垂(ひたたれ)などの、袖(そで)くくりの紐(ひも)の下へ垂れた部分。
出典太平記 二
「柿(かき)の衣のつゆを結んで肩に掛け」
[訳] 柿色の法衣の袖くくりの紐の先を結んで肩にかけて。
〔下に打消の語を伴って〕少しも。まったく。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「やがて末まではあらねども、すべてつゆたがふことなかりけり」
[訳] すぐに下の句まで答えるということはないが、すべてにおいて少しも間違うことがなかった。
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