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聞こえさせ給ふの意味

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きこえ-させ-たま・ふ 【聞こえさせ給ふ】

分類連語


(一)

〔「聞こゆ」が動詞の場合〕


〔「さす」が使役の意の場合〕申し上げさせなさる。


出典源氏物語 若菜下


「桐壺(きりつぼ)の御方より伝へてきこえさせたまひければ、参らせ給(たま)へり」


[訳] 桐壺の御方を通して(女三の宮の猫をほしいと)申し上げさせなさったので、差し上げられた。


〔「さす」が尊敬の意の場合〕申し上げなさる。申し上げあそばす。


出典枕草子 関白殿、二月二十一日に


「御前(おまへ)にゐさせ給ひて、ものなどきこえさせたまふ」


[訳] 関白様は、中宮様のおそばにお座りになって、お話を申し上げなさる。


(二)

〔「聞こゆ」が補助動詞の場合〕


〔「さす」が使役の意の場合〕お…申し上げさせなさる。


出典源氏物語 若菜上


「まづ、かの弁してぞ、かつがつ案内(あない)伝へきこえさせたまひける」


[訳] まず、あの左中弁を使いとして、とりあえずご意向を(源氏に)お伝え申し上げさせなさった。


〔「さす」が尊敬の意の場合〕お…申し上げなさる。…申し上げあそばす。


出典源氏物語 桐壺


「この御方の御いさめをのみぞ、なほわづらはしく心苦しう思ひきこえさせたまひける」


[訳] (帝(みかど)は)このお方(=弘徽殿女御(こきでんのにようご))のご意見だけは、やはり気遣いされつらくお思い申し上げなさるのであった。


参考

(1)(一)は語り手・書き手の立場から、「聞こゆ」で話を聞く人への敬意(謙譲)を表し、「させ給ふ」で話す動作の主への最高の敬語(尊敬)を表す。この尊敬の対象は、多く帝(みかど)・皇后・中宮や関白などである。(2)ほかに「聞こえさせ+給ふ」を立てる説がある。「聞こえさせ」は謙譲語(あるいは、謙譲の補助動詞)「聞こえさす」の連用形であり、「給ふ」は尊敬の補助動詞である。たとえば「春宮(とうぐう)は、かかる御悩(なや)みにそへて、世を背(そむ)かせ給ふべき御心づかひになむ、と聞かせたまひて渡らせたまへり。母女御(にようご)も添ひきこえさせたまひて参りたまへり。」(『源氏物語』)〈(朱雀院(すざくいん)の第一皇子である)東宮は、このような父院のご病気に加えて、さらにご出家のお心づもりでいらっしゃるとお聞きになられて、(朱雀院の御所に)お越しになられる。(東宮の)母君の女御も(東宮に)お付き添い申しあげられて参上なさった。〉のような例が挙げられる。補助動詞「給ふ」は主語の母女御に対する尊敬語であり、補助動詞「聞こえさす」は東宮に対する最高敬語であるとみるのである。


なりたち

謙譲の動詞、または補助動詞「きこゆ」の未然形+使役、または尊敬の助動詞「さす」の連用形+尊敬の補助動詞「たまふ」








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