学研全訳古語辞典 |
いで
①
さあ。▽相手を行動に誘ったり、促したりするときに発する語。
出典源氏物語 若紫
「いで、君も書い給(たま)へ」
[訳] さあ、あなたも書きなさい。
②
どれ。さあ。▽自分が行動を起こすときに発する語。
出典源氏物語 若紫
「いで、御消息(せうそこ)聞こえむ」
[訳] どれ、ごあいさつ申し上げよう。
③
おやまあ。いやもう。▽感動したり驚いたときに発する語。
出典源氏物語 若紫
「いで、あな幼や。言ふかひなうものし給(たま)ふかな」
[訳] いやもう、まあ子供っぽいことよ。たわいなくいらっしゃることよ。
④
いや。さあ。▽疑いや否定の気持ちで発する語。
出典大鏡 序
「いで、さも侍(はべ)らず」
[訳] いや、そうでもありません。
さて。そもそも。▽あらたに話題をおこすときに用いる。
出典景清 謡曲
「いで、そのころは寿永三年三月下旬のことなりしに」
[訳] さて、その時は寿永三年三月下旬のことであったが。
いで
《接続》動詞・助動詞の未然形に付く。〔打消〕…ないで。▽上の語句を打ち消しつつ下の語句に続ける。
出典寿の門松 浄瑠・近松
「我とても女の身、腹が立たいであるものか」
[訳] 私だって女の身、腹が立たないでいられるものか。◆室町時代以降に使われた語。
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