学研全訳古語辞典 |
かげ 【影・景】
①
(日・月・灯火などの)光。
出典万葉集 四四六九
「渡る日のかげに競(きほ)ひて尋ねてな」
[訳] (東から西へ大空を)渡る日の光と競い合うように求めて行こう。
②
(人や物の)姿・形。
出典今昔物語集 二八・一一
「我がふるひけるかげのうつりたるを見て言ふなるべし」
[訳] 自分のふるえている姿が映ったのを見て言っているにちがいない。
③
(心に思い浮かべる)顔・姿。面影。
出典源氏物語 桐壺
「母御息所(みやすんどころ)は、かげだに覚え給(たま)はぬを」
[訳] 母である御息所のことは、面影さえおぼえていらっしゃらないが。
④
(人や物の)影。
出典大鏡 道長上
「わが子どもの、かげだに踏むべくもあらぬこそ口惜しけれ」
[訳] 私(=兼家)の子息たちが、(四条大納言の)影さえ踏むこともできそうにないのは残念なことだ。
⑤
(実体のない)影。
出典竹取物語 御門の求婚
「このかぐや姫、きとかげになりぬ」
[訳] このかぐや姫は、さっと(実体のない)影になってしまった。
かげ 【陰・蔭】
①
物陰。陰。
出典伊勢物語 九
「その沢のほとりの木のかげに下りゐて、乾飯(かれいひ)食ひけり」
[訳] その沢のほとりの木のかげに、馬から降りて座って、干し飯を食べた。
②
かばってくれるもの。よりどころ。
出典更級日記 宮仕へ
「我を子としも頼もしからむかげのやうに、思ひ頼み」
[訳] 私を子供として頼りになりそうなよりどころのように思いたのみ。
③
かばってくれる人。おかげ。恩恵。
出典更級日記 夫の死
「帝(みかど)きさきの御かげに隠るべきさまをのみ」
[訳] 帝や后のご恩をこうむるような身となるのだとばかり。
か-げ 【鹿毛】
馬の毛色の一つ。体全体は赤茶色で、たてがみ、尾、ひざ以下の黒いもの。
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