学研全訳古語辞典 |
か・つ
活用{て/て/つ/つる/つれ/てよ}
〔動詞の連用形に付いて〕…に耐える。…することができる。…られる。
出典万葉集 九四
「さ寝ずはつひにありかつましじ」
[訳] (あなたと)共寝しないでは(私は)とうてい生きてはいられないだろう。◆上代語。
語法
未然形「かて」に打消の助動詞「ず」の上代の連用形「に」や連体形「ぬ」を伴う「かてに(がてに)」や「かてぬ」、あるいは終止形「かつ」に打消推量の助動詞「まじ」の古い形「ましじ」を伴う「かつましじ」の形で使われることが多い。⇒がてに
かつ 【且つ】
①
一方では。同時に一方で。▽二つの事柄が並行して行われていることを表す。「かつ…かつ…」の形、また、単独でも用いられる。
出典方丈記
「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし」
[訳] (川の)流れが滞っている所に浮かんでいる水の泡は、一方では消え、同時に一方ではできて、そのまま(川の面に)長くとどまっている例はない。
②
すぐに。次から次へと。
出典徒然草 七三
「かつあらはるるをもかへりみず、口にまかせて言ひ散らすは」
[訳] (話しているはしからうそが)すぐにばれるのも気にかけないで、口からでまかせに勝手なことを言うのは。
③
ちょっと。ほんの少し。わずかに。やっと。
出典伊勢物語 一二八
「心をぞわりなきものと思ひぬるかつ見る人や恋しかるらむ」
[訳] 心というものを、わけのわからないものと思ったよ。ちょっと会った人がどうしてこんなに恋しいのだろうか。
その上。ほかに。また。
出典奥の細道 松島
「袋を解きてこよひの友とす。かつ杉風(さんぷう)・濁子(だくし)が発句(ほつく)あり」
[訳] ずた袋(の口)を解いて(松島の漢詩・和歌を取り出して)今夜の友とする。その上(袋の中には)杉風や濁子の作った発句もある。
か・つ 【勝つ・克つ】
活用{た/ち/つ/つ/て/て}
①
(勝負などに)勝つ。
出典徒然草 一三〇
「勝負を好む人は、かちて興あらんためなり」
[訳] 勝負ごとを好む人は、勝っておもしろがろうというためである。
②
相手よりすぐれている。
③
(欲望などを)抑える。
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