学研全訳古語辞典 |
薫の君
分類人名
『源氏物語』の作中人物。「宇治十帖(じゆうじよう)」の主人公、薫大将(かおるだいしよう)。かぐわしい体臭で薫と呼ばれた。光源氏(ひかるげんじ)の子、実は源氏の妻の女三の宮と柏木(かしわぎ)との子。宇治八の宮の娘の大君(おおいぎみ)に恋するが死なれ、その異母妹の浮舟(うきふね)を匂宮(におうのみや)と争ったが、悲恋に終わる。
かを・る 【薫る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
(煙や霧などが)ほのかに立ちのぼる。
出典万葉集 一六二
「潮気(しほけ)のみかをれる国に」
[訳] 潮の香だけがほのかに立ちのぼっている国に。
②
よい香りがする。
出典源氏物語 蜻蛉
「橘(たちばな)のかをるあたりは」
[訳] たちばなのよい香りがするあたりは。
③
つややかに美しく見える。
出典源氏物語 柏木
「まみのかをりて、笑(ゑ)がちなるなどを」
[訳] 目もとがつややかに美しく見えて、笑みをたやさないことなどを。
注意
①と③は現代語にはない意味である。
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