学研全訳古語辞典 |
け-・す 【化す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
変化する。
出典雨月物語 夢応の鯉魚
「一つの鯉魚(りぎよ)とけしぬ」
[訳] 一匹の鯉(こい)に変化した。
け・す 【消す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
見えなくする。消す。
出典奥の細道 山中
「今日よりや書き付けけさん笠の露―芭蕉」
[訳] 今日からは笠に書いた「同行二人」という書き付けを消そう、笠に置いた露で。
②
取り消す。撤回する。否定する。
③
けなす。くさす。
出典好色一代男 浮世・西鶴
「京に来てよい事見た目で、大方の事はとけされて」
[訳] 京に来てすばらしい物を見てしまった目では、たいていのことはとけなされて。
④
〔「肝(きも)」「心」などを受けて〕心の平静を失う。びっくりする。
出典平家物語 一一・逆櫓
「ただ耳を驚かし、きも魂をけすより外(ほか)の事ぞなき」
[訳] ただ聞いて驚き、心の平静を失うよりほかのことがない。
け・す 【着す・著す】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
お召しになる。▽「着る」の尊敬語。
出典古事記 景行
「汝(な)がけせる襲(おすひ)の裾(すそ)に」
[訳] あなたがお召しになっている上着の裾に。◆上代語。
参考
上一段動詞「着る」の未然形に、尊敬の四段型助動詞「す」が付いて一語化し、変化したもの。
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