学研全訳古語辞典 |
さ・く 【割く・裂く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
裂く。
②
一部を切り離す。
出典日本書紀 応神
「吉備(きび)の国をさきて、その子等(こども)に封(ことよ)さす」
[訳] 吉備の国(岡山県と広島県東部)の一部を切り離して、その子たちに委任なさる。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
裂ける。切れて分かれる。
出典万葉集 一九九五
「六月(みなづき)の地(つち)さへさけて照る日にも」
[訳] 六月の大地まで裂けるほどに照る太陽にも。
さ・く 【放く・離く】
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
遠ざける。離す。
出典万葉集 一五三
「鯨魚(いさな)取り(=枕詞(まくらことば))淡海(あふみ)の海を沖さけて漕(こ)ぎ来る船」
[訳] 淡海の湖を沖に遠ざけて(=沖の遠くを)漕いでくる船よ。
②
〔動詞の連用形に付いて〕
(ア)
〔「語る」「問ふ」などに付いて〕気がすむまで…する。…して思いを晴らす。
出典万葉集 四一五四
「語りさけ見さくる人目乏(とも)しみと」
[訳] 語り合って思いを晴らし、会って思いを晴らす人が少ないからと。
(イ)
〔「見さく」の形で〕遠く眺める。はるかに見やる。
出典万葉集 一七
「しばしばも見さけむ山を」
[訳] ⇒うまさけ…。
活用{か/き/く/く/け/け}
[一]②(イ)に同じ。
出典万葉集 四五〇
「往(ゆ)くさには二人わが見しこの崎(さき)をひとり過ぐれば見もさかず来(き)ぬ」
[訳] 行くときには妻と二人で見たこの崎を帰りにはひとりで通るので、はるかに見やりもしないで来たことだ。
さく 【笏】
「しゃく(笏)」に同じ。
さく 【幸く】
「さきく」に同じ。
出典万葉集 四三四六
「父母が頭(かしら)かき撫(な)でさくあれて言ひし言葉(けとば)ぜ忘れかねつる」
[訳] ⇒ちちははが…。◆上代の東国方言。
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