学研全訳古語辞典 |
しゃう- 【正】
①
同一の位階を上下二つに区分して、その上位を表す。「じゃう」とも。[反対語] 従(じゆ)。
②
数の上に付けて、ちょうど・きっちりの意を表す。
参考
位階の「正」は、近世までは「じゃう」と濁るのが普通で、「正一位稲荷(いなり)大明神」などのように神位を表すときだけ「しゃう」と清音を用いた。
しゃう 【笙】
「しゃうのふえ」に同じ。「さう」とも。
しゃう 【性】
①
生まれながらの性質。生まれつき。本性。
出典徒然草 一〇七
「女のしゃうは皆ひがめり」
[訳] 女の本性はみなねじけている。
②
精神。魂。性根。心。
出典毎月抄
「間断なく案じ候へば、しゃうもほれ」
[訳] たえまなくお考えになっていますと、心もぼんやりして。
しゃう 【箏】
「さうのこと」に同じ。
しゃう 【荘・庄】
①
「しゃうゑん」に同じ。「さう」とも。
②
荘園(しようえん)廃止後も「しゃう」を地名として残している土地。
出典奥の細道 須賀川
「岩城(いはき)・相馬・三春(みはる)のしゃう」
[訳] 岩城・相馬・三春の荘。
しゃう 【省】
「はっしゃう(八省)」に同じ。
しゃう 【生】
①
生きていること。命のあること。また、生きている間。一生。
出典徒然草 七四
「しゃうをむさぼり、利を求めて止(や)む時なし」
[訳] 命あることに執着し、利益を求めてとどまることがない。
②
生命。命。
出典徒然草 九三
「しゃうあるもの、死の近き事を知らざる事、牛既に然(しか)なり。人、また同じ」
[訳] 命のあるもので、死の近いのを知らないのは、この牛のとおりだ。人間もまた同じだ。
③
生き物。生類(しようるい)。
出典徒然草 一二一
「しゃうを苦しめて目を喜ばしむるは、桀(けつ)・紂(ちう)が心なり」
[訳] 生き物を苦しめて喜ぶのは(中国の古代の)桀王や紂王の心と同じである。
しゃう 【姓】
「せい(姓)」に同じ。「さう」とも。
しゃう 【正】
①
諸司(主水司(もんどのつかさ)・采女(うねめの)司など)の長官。「かみ」とも。
②
本当の事。真実。
しゃうのページへのリンク |