学研全訳古語辞典 |
なつか・し 【懐かし】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
心が引かれる。親しみが持てる。好ましい。なじみやすい。
出典万葉集 一〇五九
「咲く花の色めづらしく百鳥(ももとり)の声なつかしく」
[訳] 咲く花の色はすばらしく、いろいろな鳥の声も心引かれ。
②
思い出に心引かれる。昔が思い出されて慕わしい。
出典平家物語 灌頂・女院出家
「もとの主(あるじ)の移し植ゑたりけん花橘(はなたちばな)の、軒近く風なつかしう薫りけるに」
[訳] もとの主人が移し植えたとかいう橘の花が、軒先近く(に咲き)吹く風にのって、思い出に心引かれるように薫ってきたときに。◇「なつかしう」はウ音便。
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