学研全訳古語辞典 |
なつののの…
分類和歌
「夏の野の繁(しげ)みに咲ける姫百合(ひめゆり)の知らえぬ恋は苦しきものそ」
出典万葉集 一五〇〇・坂上郎女(さかのうへのいらつめ)
[訳] 夏の野の生い茂る草の中にひっそりと咲いている姫百合の花のように、人知れず思い続ける恋は苦しいものだ。
鑑賞
片思いをするせつなさを詠んだ歌。「姫百合」の可憐(かれん)で小さな花のイメージと片思いの心情が調和している。上の句は「知らえぬ」を導き出す序詞(じよことば)で、自分は思ってはいるが、その思いが相手に知られていないことをいう。
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