学研全訳古語辞典 |
のち 【後】
①
のち。あと。以後。
出典徒然草 九二
「のちの矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり」
[訳] あと(=二本目)の矢をあてにして、最初の矢(を射ること)にいいかげんな気持ちが生ずる。
②
未来。将来。
出典更級日記 後の頼み
「この度は帰りて、のちに迎へに来む」
[訳] 今回は(このまま)帰って、将来(再び)迎えに来よう。
③
死後。後世(ごせ)。来世。
出典源氏物語 蜻蛉
「のちのしたためなども、いとはかなくしてけるを」
[訳] (浮舟の)死後の処置(=葬儀)なども、たいへん簡略にしてしまったそうだが。
④
子孫。後裔(こうえい)。
出典枕草子 五月の御精進のほど
「その人ののちといはれぬ身なりせば、こよひの歌をまづぞ詠ままし」
[訳] もし(私が)その(有名な歌人の)子孫だといわれない身だったら、今夜の歌会の歌を真っ先に詠んで(さし出し)たろうのに。
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