学研全訳古語辞典 |
はるさめや…
分類俳句
「春雨や食はれ残りの鴨(かも)が鳴く」
出典七番日記 俳文・一茶(いつさ)
[訳] 春雨がしとしとと静かに降り続く夕暮れ、運よく人間に食べられずに生き残った鴨が寂しげに鳴いている。
鑑賞
文化十年(一八一三)の作。「食はれ残り」という大胆な表現で、感傷的な気分を諧謔味(かいぎやくみ)に変えている。季語は「春雨」で、季は春。
はるさめや…
分類俳句
「春雨や小磯(こいそ)の小貝(こがひ)ぬるるほど」
出典蕪村句集 俳諧・蕪村(ぶそん)
[訳] 海辺に絹糸のような春雨が降っている。入り江の小さな磯に散らばった小さな貝がいつの間にかぬれてゆくほどの、柔らかな細い雨であるよ。
鑑賞
「小磯の小貝」と頭韻を踏んだ調べが美しい。また、春雨の細い絹糸のような柔らかさを表すには、やはり「小さな磯」の「小さな貝」でなくてはならず、表現の細かい工夫を味わいたい。季語は「春雨」で季は春。
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