学研全訳古語辞典 |
はるがすみ…
分類和歌
「春霞立つを見捨てて行く雁(かり)は花なき里に住みやならへる」
出典古今集 春上・伊勢(いせ)
[訳] 春霞が立つのを見捨てて北の国へ帰って行く雁は、花のない里に住み慣れているのであろうか。
鑑賞
この歌は、雁を擬人化し、「花なき里」に住み慣れているせいだろうと想像することによって、春を待ち望む思いを機知的に詠んだ。「ならへる」の「る」は係助詞「や」の結びで、存続の助動詞「り」の連体形。
はる-がすみ 【春霞】
春の霞。[季語] 春。
出典古今集 春上
「はるがすみ立てるやいづこ」
[訳] 春霞が立ちこめているのは、どこなのだろう。
はる-がすみ 【春霞】
分類枕詞
「かす」という同音の繰り返しから地名「春日(かすが)」にまた、春霞の状態から「立つ」「起(た)つ」「発(た)つ」「竜田(たつた)(立田)」に、霞がかかって物が直接見えない意で「よそに」や、霞が「居(ゐ)る」の意で同音の「井(ゐ)」などにかかる。
出典古今集 春下
「はるがすみ竜田の山の鶯(うぐひす)の声」
[訳] 竜田の山でうぐいすの鳴く声が聞こえている。
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