学研全訳古語辞典 |
ば-や
《接続》動詞型活用語の未然形に付く。
①
〔自己の願望〕…たいものだ。
出典更級日記 かどで
「いかで見ばやと思ひつつ」
[訳] どうにかして(その物語を)読みたいものだと思い続けて。
②
〔事態の実現の願望〕…てほしい。▽「あり」「侍(はべ)り」などに付く。
出典平家物語 六・嗄声
「今様(いまやう)一つあらばや」
[訳] 今様が一曲あってほしいなあ。
③
〔意志〕…よう。
出典隅田川 謡曲
「急ぎ乗らばやと存じ候(さうら)ふ」
[訳] 急いで(船に)乗ろうと思います。
④
〔強い打消〕…どころか、まったく…ない。▽多く「あらばや」の形で用いる。
出典若木詩抄
「酒はのませたし銭はあらばや」
[訳] 酒は飲ませたいが、銭はあるどころかまったくない。◆接続助詞「ば」に係助詞「や」が付いて一語化したもの。③④は中世語。
参考
「ばや」と「なむ」の違い 「ばや」が自己の願望を表すのに対して、同じく願望を表す終助詞の「なむ」は、相手に望む意を表す。
ば-や
分類連語
①
〔活用語の未然形に付いて〕…ならば…か。…たら…か。▽仮定条件の疑問を表す。
出典古今集 秋下
「心あてに折らばや折らむ」
[訳] ⇒こころあてに…。
②
〔活用語の已然形に付いて〕…だから…か。…なので…か。▽確定条件の疑問を表す。
出典古今集 恋二
「思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらむ」
[訳] ⇒おもひつつ…。
語法
文末の活用語は、係助詞「や」を受けて連体形となる。
なりたち
接続助詞「ば」+係助詞「や」
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