学研全訳古語辞典 |
わび-こと
(一)
【侘び事・侘び言】思い煩うこと。思い悩んで嘆くこと。また、恨みがましい言葉。恨みごと。愚痴。
出典源氏物語 藤袴
「様々なる、人々の御わびごとも多かり」
[訳] いろいろな、人々のお恨みごとも多い(のである)。
(二)
【詫び事・詫び言】
①
辞退すること。また、その言葉。断り。
出典三人夫 狂言
「終(つひ)に歌などを詠うだ事はござらぬ。これは、な、御わびことを申し上げまする」
[訳] まだ歌など詠んだことはございません。これ(=歌を詠むこと)は、なあ、ご辞退を申し上げます。
②
謝罪すること。また、その言葉。おわび。
出典胸突 狂言
「某(それがし)も思はず強う当たった。そのわびことに今までの利分をばまけておまさうぞ」
[訳] わたしも思いがけず強く応対した。そのおわびに今までの利息をまけてさしあげよう。◆「わびごと」とも。
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