学研全訳古語辞典 |
わたつみの…
分類和歌
「わたつみの豊旗雲(とよはたくも)に入り日さし今夜(こよひ)の月夜(つくよ)さやに照りこそ」
出典万葉集 一五・天智天皇(てんぢてんわう)
[訳] 海上の旗のようにたなびく美しい雲に夕日がさし、真っ赤な夕焼けとなっている。今夜の月は明るく照ってほしい。
鑑賞
「入り日さし(万葉仮名で「伊理比弥之」)」には「入り日見し」、「さやに照りこそ(「清明己曾」)」には「あきらけくこそ」「さやけかりこそ」の異訓がある。「こそ」は、他に対する願望の意の終助詞とするが、異説もある。しかし、いずれにしても航路の安全のために、月の明るいことを確信しつつ神に祈った歌であろう。
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