学研全訳古語辞典 |
わすれがひ…
分類和歌
「忘れ貝拾ひしもせじ白玉を恋(こ)ふるをだにも形見と思はむ」
出典土佐日記 二・四
[訳] 忘れ貝を拾ったりはしないつもりだ。真珠のように大事なあの子を恋い慕う気持ちだけでも、形見と思うことにしよう。
鑑賞
子を失った悲しさは耐え難く、忘れ貝を拾って忘れてしまおうとも思うほどだが、その悲しみに耐えて、いつまでも子をしのぼうとする親の真情のこもった歌である。「白玉」は、愛児をたとえたもの。
わすれ-がひ 【忘れ貝】
手に持つと、恋の苦しさを忘れさせる力があるという貝。和歌では「忘る」の序詞(じよことば)を構成することが多い。
出典万葉集 三一七五
「わすれがひ拾へど妹(いも)は忘らえなくに」
[訳] 忘れ貝を拾ったけれどもあの(恋しい)娘は忘れることができない。
わすれがひのページへのリンク |