学研全訳古語辞典 |
をぐらやま…
分類和歌
「小倉山あらしの風の寒ければ紅葉(もみぢ)の錦着ぬ人ぞなき」
出典大鏡 頼忠・藤原公任(ふぢはらのきんたふ)
[訳] 小倉山や嵐山(あらしやま)から吹き下ろす山風が寒いので、紅葉の落ち葉が人々の衣に散りかかって、錦の衣を着ない人はだれもいないことだ。
鑑賞
「紅葉の錦」は、衣に散りかかった色とりどりの紅葉を、精巧な色模様を織りだした美しい絹織物に見立てた表現。「小倉山」は紅葉の名所。「あらし」は山を吹く強い風の意と嵐山をかける。
をぐらやま…
分類和歌
出典百人一首
「小倉山(をぐらやま)峰のもみぢ葉(ば)心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ」
出典拾遺集 雑秋・藤原忠平(ふぢはらのただひら)
[訳] 小倉山の峰の紅葉よ、もしお前に物の趣を解する心があるならば、もう一度の行幸があるまで(散らないで)待っていてくれよ。
小倉山
分類地名
歌枕(うたまくら)。
①
今の京都市の北西郊の嵯峨(さが)にある山で、保津川を挟んで「嵐山(あらしやま)」と対する。紅葉の名所であり、藤原定家(ふじわらのさだいえ)がここの山荘で『百人一首』を選んだといわれることでも知られる。和歌では、「紅葉」「鹿(しか)」を詠み込むことが多く、また、「小暗(をぐら)し」の「をぐら」をかけることもある。小倉の山。
②
『万葉集』巻八で「夕されば小倉の山に鳴く鹿は…」〈⇒ゆふさればをぐらのやまに…。〉と詠まれた山で、今の奈良県桜井市付近の山というが、未詳。「小椋山」とも書く。
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