学研全訳古語辞典 |
をし・む
活用{ま/み/む/む/め/め}
(一)
【惜しむ】
①
物惜しみをする。
出典枕草子 職の御曹司におはします頃、西の廂にて
「御仏供(ぶく)のおろしたべむと申すを、この御坊(ごばう)たちのをしみ給(たま)ふ」
[訳] (仏への)お供え物のおさがりをいただこうと申し上げるのを、このお坊様たちが物惜しみなさる。
②
捨てにくく思う。名残り惜しく思う。残念がる。
出典猿蓑 俳諧
「行く春を近江(あふみ)の人とをしみける―芭蕉」
[訳] ⇒ゆくはるを…。
(二)
【愛しむ】深く愛する。大切に思う。いつくしむ。いとおしく思う。
出典古今集 離別
「をしむらむ人の心を知らぬまに秋の時雨(しぐれ)と身ぞふりにける」
[訳] 私を深く愛しているというあなたの気持ちを知らないうちに、秋の時雨が降るとともに、私の身もすっかり年老いてしまったよ。
参考
「をしむ」は形容詞「をし」の動詞形。「惜しむ」は現在でも使われるが、「愛しむ」は全く使われない。
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