学研全訳古語辞典 |
は・ぐ 【剝ぐ】
活用{が/ぎ/ぐ/ぐ/げ/げ}
①
(表面にあるものを)むしり取る。はがす。
出典万葉集 三八八六
「もむ楡(にれ)を五百枝(いほえ)はぎ垂り」
[訳] もむにれの樹皮をたくさんはがして垂らし。
②
(着ている衣類を)はぎ取る。脱がす。
出典宇治拾遺 二・一〇
「走りかかりて、衣(きぬ)をはがむと思ふに」
[訳] 走りかかって、(着ている)衣服をはぎ取ろうと思うが。
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
①
(表面にあるものが)はがれる。はげる。
出典落窪物語 一
「古めきまどひて、所々はげたるを」
[訳] ひどく古びて、所々(塗りが)はげているのを。
②
毛が抜け落ちる。はげる。
出典徒然草 一五二
「むく犬の、あさましく老いさらぼひて、毛はげたるを」
[訳] むく犬で、みっともなく年老いてよぼよぼになって、毛が抜け落ちているのを。◇多く「禿ぐ」と書く。
へ・ぐ 【剝ぐ・折ぐ】
活用{が/ぎ/ぐ/ぐ/げ/げ}
①
薄く削り取る。はがす。
出典嵯峨日記 俳文・芭蕉
「五月雨(さみだれ)や色紙(しきし)へぎたる壁の跡―芭蕉」
[訳] 五月雨が降っていることよ。(もと富豪の別荘であった落柿舎(らくししや)も傷んで)色紙をはがした壁の跡が残っている。
②
減らす。少なくする。
③
かすめ取る。
出典浮世物語 仮名
「それをみなへぎて己が徳とし」
[訳] それを全部かすめ取って自分の財産とし。
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