学研全訳古語辞典 |
まぼ・る 【守る・護る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
見つめる。見守る。
出典源氏物語 須磨
「月の顔のみ、まぼられ給(たま)ふ」
[訳] 月の面ばかり見つめていらっしゃる。
②
見守って世話をする。守護する。
出典宇治拾遺 一二・二二
「ここに社(やしろ)を作りて斎(いは)ひ給(たま)へ。さらばいかにもまぼり奉らん」
[訳] ここ(=皇居)に社を作っておまつりなさい。そうすればどのようにも守護してさしあげよう。◆「まもる」の変化した語。
ま-も・る 【守る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
目を放さず見続ける。見つめる。見守る。
出典徒然草 一三七
「花の本(もと)には、ねぢ寄り立ち寄り、あからめもせずまもりて」
[訳] (桜の)花の下に、にじり寄って近寄り、わき見もしないで見つめて。
②
見張る。警戒する。気をつける。守る。
出典枕草子 職の御曹司におはします頃、西の廂にて
「こぼたせで、よくまもりて十五日までさぶらへ」
[訳] こわさせないで、よく見張って十五日まで(この雪を)残しておいておくれ。
も・る 【守る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
番をする。見張る。
出典万葉集 九五〇
「山守すゑもるとふ山に入(い)らずは止(や)まじ」
[訳] 山の番人を置いて見張るという山に入らないではいられない。
②
(常にそばにいて)守(まも)る。守護する。
出典万葉集 三三九三
「母いもれども魂(たま)そ逢(あ)ひにける」
[訳] 母が守っていても、(二人の)魂は通い会ってしまったよ。
③
(人目に立たないように)見定める。(人目を)はばかる。
出典万葉集 三一二二
「人目もり乏(とも)しき妹(いも)に今日(けふ)だに逢はむを」
[訳] 人目をはばかってめったに会えないあなたにせめて、今日こそは会いたいのに。
参考
中古以後は「まもる」が用いられるようになり、「もる」は主に歌語として残った。
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