学研全訳古語辞典 |
つたな・し 【拙し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
愚かだ。劣っている。
出典今昔物語集 二八・四二
「和御許(わおもと)のつたなくて、この盗人をば逃がしつるぞ」
[訳] おまえが愚かだから、この盗人を逃がしてしまったのだぞ。
②
未熟だ。へただ。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「これは知りたることぞかし。などかうつたなうはあるぞ」
[訳] これ(=『古今和歌集』の歌)は覚えているはずのことなのだよ。どうしてこう未熟で(=覚えが悪く)あるのか。◇「つたなう」はウ音便。
③
運が悪い。
出典更級日記 子忍びの森
「我も人も宿世(すくせ)のつたなかりければ、ありありてかくはるかなる国になりにたり」
[訳] 私も(娘の)おまえも前世の因縁で運が悪かったので、とどのつまりこのような遠く離れている国の国司になってしまったのだ。
④
見苦しい。みすぼらしい。
出典徒然草 一四〇
「よからぬ物たくはへ置きたるもつたなく」
[訳] つまらない物をたくわえているのも見苦しく。
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