学研全訳古語辞典 |
はふ・る 【放る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
ほうり出す。散らす。追放する。「はぶる」とも。
出典古事記 神代
「その蛇(をろち)を切りはふり給(たま)ひしかば」
[訳] その蛇を切り散らしなさったので。
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
さすらう。
出典源氏物語 玉鬘
「いかなるさまにはふれ給(たま)はむとすらむ」
[訳] (姫君は)どのようなありさまでさすらいなさろうとするだろうか。
②
落ちぶれる。
出典徒然草 一
「その子、孫(うまご)までは、はふれにたれど」
[訳] その子供や孫までは、落ちぶれてしまっていても。
ひ・る 【放る・痢る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
体外に出す。排泄(はいせつ)する。垂れる。
出典今昔物語集 二八・五
「着る物をも解きあへずくそひり懸くる者もあり」
[訳] 着物を脱ぐ間もなく下痢便を垂れかける者もある。
ま・る 【放る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
(大小便を)する。
出典万葉集 三八三二
「屎(くそ)遠くまれ」
[訳] 糞を遠くにせよ。
はな・る 【離る・放る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
離れる。遠ざかる。去る。
出典徒然草 七五
「いまだまことの道を知らずとも、縁をはなれて身をしづかにし」
[訳] まだ本当の(仏の)道を知らなくても、世俗的な生活から離れて身を静かな境地におき。
②
別れる。離縁する。逃げ去る。
出典竹取物語 竜の頸の玉
「これを聞きて、はなれ給(たま)ひしもとの上(うへ)は、腹をきりて笑ひ給ふ」
[訳] これを聞いて、離縁しなさったもとの奥方は、腹をよじってお笑いになる。
③
官職をとかれる。免官になる。
出典源氏物語 匂宮
「三位(さんゐ)の宰相にて、なほ中将もはなれず」
[訳] (薫(かおる)は)三位の宰相で、もとのまま中将も免官にならない。
④
開く。あく。
出典狭衣物語 二
「格子(かうし)を探り給(たま)へば、はなれたる所もありけり」
[訳] 格子戸を手探りなさると、あいている所もあった。
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