学研全訳古語辞典 |
うら-な・し 【心無し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
うっかりしている。無心だ。安心している。
出典源氏物語 若菜上
「うらなくて過ぐしける世の人笑へならむ事を」
[訳] うっかりして過ごしていたことが人々の物笑いになるかもしれないことを。
②
隠し立てしない。へだてがない。
出典徒然草 一二
「をかしき事も、世のはかなき事も、うらなく言ひ慰まんこそうれしかるべきに」
[訳] おもしろいことでも、世間のつまらないことでも、隠し立てなく話して心が慰められたら、それこそうれしいものであるはずなのに。◆「うら」は表に出ない心の中の意。
こころ-なし 【心無し】
分別のない者。不注意者。
こころ-な・し 【心無し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
無情だ。思いやりがない。
出典万葉集 一七
「しばしばも見放(みさ)けむ山をこころなく雲の隠さふべしや」
[訳] ⇒うまさけ…。
②
情趣がわからない。風流心がない。
出典新古今集 秋
「こころなき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」
[訳] ⇒こころなき…。
③
物の道理がわからない。無分別だ。
出典徒然草 一四二
「こころなしと見ゆる者も、よき一言、言ふものなり」
[訳] 物の道理がわからないと見える者でも、(ときには)よい一言を言うものだ。
注意
「心無し」を「うらなし」と読むと全く違う語になる。
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